もう10年も前のことだからだいぶ忘れてるけど思い出していこう。
部隊に到着後自分の住む部屋、ベッドに案内される。
2段ベッドが6つぐらいせまい部屋に入っている。
テレビと小さなテーブル、イスがある。
すでに何人か到着していた。
とりあえずあいさつ。
何で自衛隊なんか入ったん?
「職安で自衛隊のおっさんに声かけらてん。」
「町歩いとったら『自衛隊どない?いいよー。』ゆうて誘われたから。」
等の答が返ってくる。
時はバブル絶頂期。超売り手市場。
大学生なんか就職活動で困るなんてことなかった。
会社説明会行ったら必ず何かもらってきてた。
えーもん食わせてもらったり、旅行に連れて行ってもらったり。
ある旅行会社なんか研修旅行と称して学生の確保のため、外部と連絡とれないところへ連れて行ってすごいもてなしをする。
宿泊施設中の公衆電話の線全部切ったりしてたらしい。
当時は携帯なんかなかったからね。
そうやって他の企業へ連絡できないようにして学生達を自分の会社へ就職さそうとする。
会社も学生確保のため必死だ。今の逆。正反対。
旅行中、何を買っても会社がもってくれたらしい。
『むちゃくちゃ金使たった!』という声をよく聞いた。
僕が就職活動する前にバブルがはじけた。
なんてついてないんだ・・・
入隊式がすみ、装備を受け取る。
入隊式までは『お客さん』として扱われる。何をしても何も言われない。
しかし、入隊式以後はちょっと様子が変わった。
テレビをみんなで見ていた。
テーブルの上は本やらタバコ、灰皿などでごちゃごちゃだった。
そこに小隊長がいきなり入ってきて、
『このテーブルは物置ちゃうんじゃー!』
と言うやテーブルを蹴り上げた。
みんなの動きが止まる。あたりにちらかったモノを見る。
また、訓練が終わって部屋に戻ってくると部屋の中がむちゃくちゃ。
ベッドは倒れてるわ、イスやらテーブルはそこらにころがっている。
ある奴のベッドなんかマットが捨てられている。
窓の下に奴のマットは捨てられていた。
訳もわからずマットを取りに行く。
これは、通称『台風』という儀式である。
ヤングマガジンに連載されていた『右向け左』というマンガはよく自衛隊の生活が描かれている。
おもしろい。自衛官はみんな読んでるんじゃないかなあ。
こんな儀式を見ると『オー軍隊やねー』と思ったものである。
まー今思えば全然たいしたことないんやけどね。
体力テストがある。
1500メートル走、100メートル走、懸垂、幅跳びやったかな。
成績の合計点で等級がつけられる。
もちろん僕は1級。中隊で一番をとった。
やっぱこういうとこって力が一番ものをいう。
最初のころって違う小隊どうしでよくモメゴトがあった。
問題ある奴が多かったからね。暴走族あがりというか現役の奴がいっぱい来てた。
僕には無関係やったけどね。原因作ろうとしなかったからね。
もめる奴ってのはたいがい自分で原因作ってると思う。
こんな感じで大学生自衛官としての生活が進んでいった。
我々は我が国の平和と独立を守るために今日も戦う。
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