2、再挑戦へ  4、いろんな国の人へ
3,オバーニュ


 リヨンから車でオバーニュに送られる。ここではフランス中から集められた志願者の選考をやっており、ここで最終合格者が決められる。

 私が着いたときにはすでに100名程度の志願者がいた。皆青いジャージを着ている。以前テレビで見たのと同じだ。

 背の高い黒人が話し掛けてきた。フランス人だった。掃除中
『ネオジオ知ってるか?ガロウデンセツ知ってるか?』
どうやらゲームのはなしらしい。知ってるよもちろんと答えるとやたら嬉しそうにいろいろ訊いてくる。
『クチホドニモナイワってどういう意味なんだ?ソノママシネってなんだ?日本人なら知っているだろう。』

だいぶ頭弱そうなやつだったけどなんか仲良くなった。フランス語を習うことにする。けっこうおもろい奴だった。

 ここでは1部屋に16名ほどが押し込められ、朝5時半起床、夜9時半消灯で生活する。3週間から4週間ここで生活することになる。
試験がないときは掃除やら雑用やらいろいろやらされる。食堂の掃除雑用をやらされることが多かった。ほとんど毎日だ。試験を受けに来ているというより雑用しに来ているようなもんだった。
 
 試験は、体力、知能、身体の3種類だったと思う。それがすむと、ゲシュタポと呼ばれる犯暦調査部署みたいなとこに行き調べられる。刺青なんかも全部写真にとられる。そこも問題なしだと最終面接へ移る。

体力テスト 12分間走。2800メートル以上走ること
知能テスト 地図を5分程見て、どこに何があったかをどれくらい覚えているか(記憶力)
歯車をいくつも組み合わせ指定する歯車がどの方向に回るか
 (時計の内部の様なかんじ)
四角形を縦横奥に積み、全部でいくつ四角形があるかを考える(空間推理?)
1・3・5・?・9とくれば『?』にはいる数字は何か(数的推理) など
身体検査 視力0,3以上(0,3の奴がいた)
色弱可
指の欠損可(指が一本ない奴がいた)

他いろいろ
性格テストみたいなのもあった。
体力テストで落ちる奴が多かった。
 毎日いつのまにか人が減っていく。朝いたのに夜にはいないという具合だ。
日本人がいた。連続学校あらしで警察に捕まったが逃げてきたみたいなことを言っていた。
日本にいるときは絶対に仲良くなれないがここではなれる。
日本では敵対関係にあった二人がここでは友人となる。
ショウタと言う名前だ。
 結局彼もある日の夜、姿が消えていた。不合格となったのだ。最終まで残ったのに。
無事日本まで帰れただろうか。航空チケットの期限はとっくに切れていると言っていたのに。


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