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8,モリスからの手紙 1  


 一月三十日モリスから手紙が届いた。
モリスというのは外人部隊でオバーニュからずっと一緒のアフリカ人だ。
中央アフリカの小国トーゴという国の出身で身長165センチくらいの小柄な黒人だ。

 彼とはオバーニュから一緒と書いたが初めから仲が良かったわけではない。
カステルで同じ小隊となり、1REC(第一外人騎兵連隊?)に配属された後も同じ中隊の同じ小隊となり仲良くなった。

 モリスはトーゴで空軍の攻撃機のパイロットをやっており、その後フランス空軍のパラシュート部隊に移り外人部隊に流れてきた。
元パイロットだけあってプレイステーションのエースコンバットが大好きだ。あんま関係ないかもしれへんけど・・・

 モリスは変な日本語の歌をたまに歌ってくれた。
『ササガワリョウイチ ニホンノホコリ ニホンノミナサン アリガトウ アリガトウ』
てな歌だ。
どうやらササガワリョウイチがトーゴ国に多額の援助をしていたらしい。
モーターボート協会の元会長やっけ?

 モリスは日本が大好きらしい。
『将来は日本の女みつけて結婚して日本に住むんや。』
と言っていた。
あとソニーも大好きだ。
ステレオからテレビ、ビデオ等電気製品は全部ソニー製だ。
スーパーへでっかいテレビを買いに行った。もちろんソニー製だ。
スーパーから駐屯地まではタクシーで、駐屯地の門から部屋までは二人で手で運んだ。
そんな苦労して大金払って買ったテレビもその話を聞きつけた軍曹連中によく持っていかれたり、プレステで遊ばれたりと半分くらいは他人に使われていた。
軍曹達は自分が当直につく日はいつもモリスのテレビを当直室に持っていき使っていた。
モリスはよく愚痴っていた。
『誰のテレビやっちゅうに。俺が金払たっちゅう話やっちゅうに。』

 手紙の内容だが、字が汚くてほとんどわからない。
どうやら日本人の女ができたらしい。
それと、この手紙はチャド(中央アフリカ)で書いたもので、もうすぐフランスに帰るというようなこともかいてあった。

 あーモリス、俺にはお前の字が読めへんわ。
フランス語もだいぶわからんようになってるけど、もっとお前の字がわからんわ。
ごめんよ・・・ 


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