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25,レッドマルシェ 2

      
 山中で一泊して次の日、山を歩いていく。
すると途中でサッカドー(リュック)を置けという。
そして手りゅう弾(もちろん演習用)を二つずつ渡される。たぶんこの時渡されたと思う。
そこからはサッカドーなしの身軽な装備で山に入っていく。
丘を登ると伏せろと言う。
そこからは匍匐前進。ホフクゼンシンと読む。
どうやらこの先には敵?がいるらしい。
這って行くと丘の下の方に軍用車が2台ほど見える。
するといきなり「撃てー!!」
パンパンパン、パンパンパパパン!トラックで移動
そして突撃!
みんな立ち上がって撃っている。
丘を駆け下りながら撃ちまくる。
ポン!ポン!
手りゅう弾も使う。
ピンを抜いておもっくそ放り投げる。
ポン!
白い粉が飛び散る。
下から誰かが撃ってくる。
あいつが敵か!
パパパン、パパパン、パンパンパン!
撃ちながら走り降りる。
転げ落ちていく奴もいた。

 制圧!
敵を捕虜にした!!
誰かと思えば例のイタリア人。
前日俺と一緒に捕虜になった奴だ。
みんなに頭こづかれ何やら怒り狂っている、そらそうやろ。

 昼飯にして休憩。
適当な場所見つけてコンバットレーションを食べる。
今日は何番のレーションかなー?ってどれでもええわい!
隣でルーマニア人のロッカ、戦闘服が汗でびしょびしょやゆうて全部脱いでパンイチになってる。
そこにカポラルが来て、
『あほかー!脱ぐなー!ズボンはけー!!』

近くに新しく来たカポラル、エイドリアンがいる。
こいつはマダガスカル人だ。
マダガスカルの奴はどいつも口笛がうまい。
奴は空手が好きだった。
以前は俺にとっていやな奴だったが、この時空手の話をして俺が黒帯持っていることを知るとコロッと態度が変わった。
このエイドリアン、南米ギアナ帰りらしく腰にはでっかいナタをぶらさげている。
そんなんこの行軍には必要ないやろがーと思うが、どうせ俺が持つんちゃうからどうでもいい。
そしてまた行軍開始。

 何時間か歩いたあと、また違う丘に登って今度はタコツボ掘って歩哨に立つ。見張りだ。
だんだん暗くなってくる。
「トラックが来たら攻撃しろ。手りゅう弾も小銃弾も全部使い切れ!」
と指令がくる。
そしてトラックが現れた。
パパパパン!パンパンパンパパパン!ポン!・・・
もーにぎやか!
とにかく全弾使い切らねばならない。なんとか撃ちつくす。

 それも終わり、トラックのところに集合する。
何をするのかと思えば各チームに2本ずつ直径20センチ、長さ3メートルほどの丸太を2本渡す。
それで担架を作って誰か一人を乗せて行軍するという。
うちのチームではフィッシャーが一番体重が軽かったので乗せる。
軽いと言っても重い。
丸太が肩に食い込んでめちゃ痛い。
途中、フィッシャーを降ろし空の担架をかついでチョンボする。
そんなもん真面目にやっとれるかい!
1時間も歩いてないだろうか、トラックがとまっているところで担架担ぎは終わった。

 そんなこんなで一晩中歩いて次の日の朝カステルに戻った。
そして、カステルでの教育は終了した。

 あとはテストだ。
12分間走、懸垂、綱のぼり、障害走、フランス語などなど、いろんなテストがあった。
フランス語はなぜか、なかなか良い成績だった。
俺の点数を見た奴が「なんでお前ぜんぜんフランス語しゃべられへんくせにテストは点数ええねん?誰かに教えてもろたんやろ。」と言う。
失礼な、実力じゃ!と言い返す。
ちゅうか、そいつが点数悪すぎただけなんやけどな。

 結局、真ん中くらいの成績だった。
一番はモリスだった。こいつとは同じ連隊に配属となる。
それにしてもカステルでの教育が終わったのは本当に嬉しかった。
一日も早く脱出したかったからね、カステルから。


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