26、自動車教習所 へ  28、1REC配属
27,さらば、カステル 


 約4ヶ月にわたるカステルノダリでの新兵教育も終了し、配属先の連隊へ移動する日がやって来た。
配属先、希望どおりにはいかないものである。
希望は3つまでできるのだが、テストの結果、本人の能力などを考慮して決められるらしい。
テストの成績が良かった奴は希望の連隊に行きやすい。
ちなみに私の場合、
1、2REI    第2外人歩兵連隊   ニーム
2、13DBLE 第13外人ジブチ分団 ジプチ共和国(アフリカ)
3、1REC   第1外人騎兵連隊   オランジュ
だったと思う。

 配属先は小隊長から直接教えられる。
一人一人部屋に呼ばれて「お前は2REP(第二外人落下傘連隊)」みたいに告げられる。
小隊長の部屋の前の廊下に一列にならんで自分の番を待つ。
出てくる奴にみんな訊く。「どこやった?」
満足そうな奴、不満気なやつ、いろいろや。
そして自分の番がやってきた。
部屋に入り、名前、在隊期間、所属を言い、小隊長の指揮下に入ることを宣言し、休めの号令で休めの体勢になる。
「オカノ、お前は1RECや。」と言われる。
え?1REC?それとも1REG?と聞き返すと、
「1RECじゃ。なんか文句あるんか?」と言われる。
いえ、なんも問題ありません。と答えるがおもっくそ文句あるんじゃ、ほんまわ。
なんで俺が戦車部隊やねん。俺は歩兵にきまっとるやろが!
とか思うが、よう文句言えんかった。俺はヘタレですよ、どうせ。
と同時に3年以内に脱走することも決まった。
というか、どこか海外に派兵されてそれが終わった時点で脱走することが決まったのだった。
そんなもん、希望のとこ行けんのにいつまでもいるわけにいかんからね。
幸い数ヵ月後に1RECはコソボに行くという噂があったのでよしとしよう思う。

 そしてカステルを去る日が来た。
バスで最寄の駅まで送ってもらい、そこから鉄道でオバーニューまで行く。
そう、オバーニューに一旦戻るのだ。そこで一泊したと思う。
そこには、志願兵時代にヤイヤイ言われたカポラルがいてた。
「オカノ、4ヶ月やってきたんやなカステルで。」とか訊いてくる。
4ヶ月やってきたからここにおるんやろがボケ!とか思いながら
「ウィ、カポラル!」と元気に答える。
お前なんかどうでもええんじゃ!俺はあのアホなカステルから出られたからご機嫌なんや!
 志願時にとりあげられた私物を返してもらう。
むちゃなつかしいもんばっかり。
機動隊のT−シャツがなつかしすぎ。
結局ビクトリノックスのナイフは返ってこなかった。
志願時に取り上げられたのだが、やっぱり誰かがパクりよったんやな。オバーニューで

 次の日、各連隊から迎えのサージャン(軍曹)の指揮下に入る。
そしてバスに乗って配属先の連隊に散っていく。
そうそう、オバーニュで2REPの日本人に会った。名前忘れたけど。
こんな感じでみんなとお別れする。
もう会うことない奴がほとんどやろなー、と思いながら。
ところがこれがよく会うんやねー、パリのディスコなんかで。
演習行っても誰かと会ったね。
結局のところ、外人部隊兵の行き先なんか、たかがしれてるということですね。
みんな大体同じ様なとこしか行かん。

 ま、そんな感じで私は他6人と1RECがある南仏オランジュに向かうのだった。
モリス、ロッカ、ピレリー、ダラボイナ、マティン、他1名(名前忘れたロシア人)とともに。
ま、すぐマティン(ルーマニアかハンガリーかなんせそのへんの国の奴)は脱走してもたけどね。
愛車となる戦車、装甲車の待つオランジュに向かってクソバスは走る。


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