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42,訓練2 
 日帰りの訓練が多かったけど、泊まりがけの訓練もたまにあった。
そうなると、我々二等兵、一等兵には、うっとおしい雑務が増えることになる。
使用する施設の掃除に加え、夜間のガードである。
夏などは、日本と違って蒸し暑くないので、快適なんだが、冬はけっこう寒いのでつらい。
早い時間帯で、ガードにつければ、後はゆっくり寝れるのでいいんだけどね、ちょうど真ん中ぐらいが中途半端にしか寝れないのでつらい。
また、持たされる武器というのが、ツルハシなんかの杖なのよ。
もうちっと、ましなもんないんかいなと思うんだけどね、毎回。

 ほとんどの訓練は、車両を使用しての訓練だったので、匍匐前進などすることがなかったな。
小銃を使っての訓練も、あんまりしなかったね。
戦車や装甲車には、機関銃が備えられているのでね。
それでも、定期的に小銃での射撃訓練はやったし、敵兵をスクリーンに映し出して、それを撃つ訓練もやった。
これは、テレビゲームのバーチャコップみたいに、スクリーンに敵が出てくるのだが、その敵を正確に撃つ訓練。
ただ違うのは、使う銃は本物だし、弾もちゃんと出ると言うこと。
当たれば大けがをするが、実弾ではなく、プラスチック製の弾が出るのだ。
プラスチック製の弾といっても、火薬の力で発射されるので、かなりの威力があると思う。

 具体的にどんな感じかというと、まず、小銃を構えてスクリーンの前に立つ。
敵はどこから出てくるかわからないので、注意をして見る。
敵が現れたら、狙いを定めて撃つ。
撃つと、映像が一時停止するので、自分が撃った弾が、敵に当たったのかどうかがわかる。
当然スクリーンには、穴が開いているのでね。
ただ、二人並んで同じスクリーンで訓練するので、どちらの撃った弾が当たっているのかどうかがわかりにくい。
ま、俺はいつも、都合のいいように考えていたね。
当たっているのは俺が撃った弾で、外れているのが隣の奴が撃った弾。
というふうに、けっこう楽しい訓練なんだが、ただ火薬を使うので、銃の手入れをしないといけないんだな、また。
しかし、スクリーンに開いた穴、結局どうしてたのかはわからないままだ。
いちいち穴をふさいでいたとも思えないしね。戦車の内部 このロシア人、いい奴なんだが、射撃で当たらないのを俺のせいにしていた。

 他には、機関銃の訓練はしなかったが、戦車砲射撃のシミュレーションはやっていたな。
これもゲームセンターにある戦車のゲームみたいな感じだ。
戦車の射撃装置と同じような装置があり、モニターに敵戦車が映し出される。
それを正確に撃ち、撃破していく訓練なのだが、射撃手しかさせてもらえない。
けっこう楽しそうだったけどな。
この訓練ではよく当ててた奴も、実際に射撃場でやったら、あんまり当たってなかったな。
ほんま、ゲームみたいな訓練やった。
あんなのを見ていたら、戦車砲の射撃手もいいかなと思ったが、戦車の中では身動きとれないから嫌だった。
一度乗り込んだら、ずっと座りっぱなしだったからね。
一番奥に潜り込むんだけど、その後ろに戦車長が座るので、最後まで動くことはできない。
もちろん、外を見ることもできない、モニターを通してなら見れるがね。
一番自由がきくのが装填手だったな。
弾を大砲にこめるのが仕事だから、動けるようにスペースが広い。
ハッチから顔を出して、外の景色を見ることもできるしね。
戦車のクルーになってからの、俺の役目が装填手だった。
誰にでもできる仕事ですわ。

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