2、再挑戦へ
1,警察学校入校


 入校日当日、スーツ姿の若者がぞろぞろ集まってくる。警察学校、警察官なら誰もが入校する学校。初めの第一歩だ。
警察官採用試験に合格した後、各都道府県の警察にある警察学校に入校することになる。
ここには在職中何度か入校することになるが、最初のそれは初任科と呼ばれ、警察官としての基礎的なこと、刑法から柔剣道、拳銃操方などを学ぶ。

 学校に着くといきなり制服一式が渡され、すぐ着替えさせられる。
講堂に集められ、『きおつけ』『休め』『敬礼』などの教練が始まった。その日のうちに。
入校式に向けた練習が始まったのだ。

 教官が精神棒を片手に学生を見て回る。入校式の後
「『きおつけ』の号令がかかったら動くな!ピクともするなー!」
「目も閉じるなー」
「前の奴の頭じっと見とけー!」
「誰が目をつぶれゆうたー!!」
15分が経過。
「休め!」 隣のデブなんかかなりつらそうだ。

 次は『敬礼』。
「敬礼!」
「敬礼は30度やー!それが30度かー!それは25度やー!!あと5度!」
「よし!そのまま動くな!」
体を30度に曲げたまま15分。隣のデブは、ハーハーゆうとる。汗もかいとるわ。かなりつらそう。
「休め!」
ほっとする。

 次は返事の練習。
「前田!」
「ハイ!」
「『ハーイ』やない、『はい!』や。」
「前田!」
「ハイ!」
「『ハーイ』やない、『ハイ!』や!『ハイ!』やゆーとるやろが!外出て練習して来い!!」
前田君は外に出されて、校庭で練習することになりました。
「!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」
ほんまに練習しとる。どうあかんねん?ぜんぜんわからん!

 そうこうしてる間に自分の番になる。前田君とまった同じ運命をたどることになった。
一日目にしてすばらしい洗礼を受け、声をからした。 

 この日、数名の学生が姿を消したらしい。顔を覚える間もなかった。

 我々は警察官の卵。『正義の味方』を目指して今日もがんばる。

 


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