3、警察学校の生活  5、試験へ

4,教育


 警察学校で教えるのは何も勉強だけではない。
もちろん頭も強くなってもらわなければならないが、精神も強くなってもらわねばならない。
そして、完璧な縦社会にも適応していかねばならない。
そのための全寮制でもあるのだ。娑婆っ気を抜くためにも一般社会との接触を断ち切ってしまうのである。
断ち切るはちょっと言いすぎか。

 学校でよく言われたのは
『お前らはこの日本中で一番下っ端の警官やー!お前ら以外の警官は間違いなく先輩やー!!』
である。
何かある度に言われてたね。
そして、先輩の言うことは絶対やったしね。
警察学校には我々の他にも学生がいてた。一期先輩の学生だ。
同じ学生といっても先輩であるから言われたことは絶対であった。
彼らの言うことは100%正しかった。
10人が10人とも違うことを言ったとしてもそれはそれで正しく、口答えなど許されなかった。
実際数人から違う指示を出されて困ってる奴がよくいてた。
先輩が白いと言ったらカラスも白いのだ。

 警察学校には教官とは別に寮兄と呼ばれる先輩警官がいてた。
彼らは学生ではなく、一線の署等で勤務をしていたが、異動で警察学校勤務となり我々学生の面倒をみてくれているのである。
この寮兄の指示もまた絶対であった。
一度言ったことは二度と言ってくれなかったので何でもメモをとる必要があった。
そして何でもメモをとる習慣が身についていくのである。
しかしこれはとても良い習慣である。
人間なんてすぐ忘れるからこうしてメモをとっておくと後々困らなくていい。

 また、よく腕立てもやらされた。連帯責任というやつだ。
60人がズラリとならんで腕立ての体勢をとる。
そして一人につき10回などと指示が出る。
まー、600回もできるやつはいてへんけどな。


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