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10,刑事研修


 地域課での2ヶ月間の交番勤務の次は刑事課での勤務だ。
勤務といっても何もできないのだがね。
刑事かがどんなものかを見ておくための2ヶ月間といったところだ。

 朝8時前に出勤し、掃除をする。このあたりはどこも一緒だ。
下っ端巡査が掃除をする。
そして、先輩刑事が出勤してくるとお茶とコーヒーを出す。
コーヒーはそれぞれ好みがあり、ブラック、砂糖のみ、クリームのみ、両方など、その人に合わせて作る。
だから、その好みを覚えておく必要がある。
いちいち聞くわけにはいかない。
一回聞いたことは基本的に二度と聞けないのだ。
こういったことは警察学校で叩き込まれる。
 
 さて、勤務内容だが、基本的に何もできないので、先輩方のお手伝いをすることになる。
ま、お茶くみ、コピーとりなどやね。
あと、弁当などを買いに行ったりのおつかいぐらいかな。
先輩達はそれぞれ書類を作ったり、取調べをしたり、聞き込みに行ったり、事件現場に行っての実況見分などをしている。
外に出るときはなるべく連れて行くようにしてもらっていたが、一歩も署から出ない日もあった。

 さて、私の初仕事だが、強姦事件の実況見分時の写真撮影で、強姦された被害者の役だった。
もちろん女性だはな。
山に車で連れて行かれてその車でやられたわけだが。
実況見分の現場で、首からなにやら看板みたいなものをかけられる。
厚紙を長方形に切り抜き、被害者と書かれたものに紐をとおし、首からかけるようにしてある。
先輩刑事二人、私、被疑者の4人で現場に来ていた。
さて、見分が始まる。
被疑者を車の後部座席に乗せる。
こいつも首から「被疑者A」という紙をぶらさげている。
そして、当時の状況を聞いている。
私が呼ばれ、被疑者の横に乗るように言われる。
顔を被疑者の股間に持っていくように言われる。
この時点ではまだ自分が何をしているのか理解できていない。
次に、右手で被疑者のチンコをつかみ、フェラをしているまねをするように指示を受ける。
やっと自分がやられた女の子の役をしていることに気づく。
急に目の前に居る被疑者である男にむかついてくる。
ダボがー、俺に何させるんじゃー!なんで俺がお前のチンコしゃぶる真似せなあかんねん!!
続いて被疑者の方に尻を向けるように言われる。
今度はさすがにわかった。
バックでやられる役やな。
被疑者が俺の腰を両手でつかんでくる。
バリうっとい!さわんな!!
てな具合で、初仕事は進んでいった。
今でもあの写真残ってるからな。

 この事件、端緒は上で書いた被疑者がある男にしばかれたと警察に届け出たことだった。
そのある男の取調べでこいつらの強姦事件がわかっていったのだ。
この被疑者、もう一人の男と二人で強姦したのだが、その女の彼氏が極道で、きっちりやられたというのである。
それを警察に届けたために自分達の悪事もばれてしまったということなのだ。

 こんな感じで一日が過ぎていくのだが、特に忙しくないときはだいたい7時くらいには帰ってたかな。
でも、当直の日は署に泊まらなければならない。
何かあったときのために交代で泊り込むのだ。
そして夜中には、覆面パトで見回りに行ったりした。
不審者や車両を止めて職質したりしてた。
そして、次の朝には皆と同じように勤務に就くのである。
寝れなかったらつらい目にあうんやね。
こんな感じかな、刑事課研修。


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