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30,テスト


 未だによくわからないのだが、たぶんテストだったと思う。
テストといっても、個人レベルのそれではなく、小隊レベルで競い合ってた。

 1日目、夜中にトラックでどこかわからんところに連れて行かれ、放り出される。
この時点で1グループ5人くらいだったと思う。(1小隊を3分隊くらいに分けていたと思う。)
どうやら山の中らしい。
近くに小屋らしいものがある。
軍曹に「調べてこい」と言われ、見に行く。
銃を構え、小屋の周囲、中を見るが異状はなさそうだ。
開始時間まで待った後、軍曹を先頭に一列縦隊で走り出す。ハピピ伍長(はっきり言ってアホ)
もちろんいつもの装備(戦闘服、背嚢、小銃等)でだ。
しかし、毎回のことだが、どこに向かっているのかさっぱりわからない。
目的もわからない。
とにかくついて行く。
しばらく行くと、町に入った。
そこで他のグループと出会う。
そして、しばらく休憩。
カステルでもこんな訓練はよくやっていたが、連隊に配属された後の訓練では、休憩時間がけっこう長かったな。
たぶん、軍曹が長く休みたかっただけだと思うのだが。
朝方、連隊の近くにある射撃場に着き、その中で仮眠をとる。
もちろんガードをつけてやね。

 2日目、射撃場で射撃をする。
しかし、私の小銃は、以前誰が使用していたのか知らないが全然当たらない。
おそらく、照準装置が修正されていないのだろう。
マトのところまで行って自分の成績を確認するのだが、誰かが「誰やねん、これ撃ってた奴?一発も当たってないでー!」とか言ってる。
くそー、俺のせいやないのにー。
射撃場の裏でブツブツ言っていると、ブラジル人のダ・シルバ一等兵が自分の小銃を貸してくれるという。
「俺のFA-MASは良く当たるでー。」
と言っていたが、確かによく当たった。
ほとんどがマトに当たっていたように記憶している。
 この後、演習場に移動し、地図とコンパスを手渡される。
時間内に地図に記されたポイントを回り、そこにある情報を持ち帰らなければならない。
ようするにオリエンテーリングみたいなもんやな。
時間を節約するためにグループを二つに分ける。
私は軍曹ともう一人とで行動をすることになる。
この時点では例のごとく、今自分が何をしているのかよくわかってない。
地図に記されてる地点を捜していることはわかっていたが、それから何をしようとしているのか、理解できてなかった。
さて、ポイントに着くと、木に何かがぶら下がっている。
「あった!」と軍曹が叫ぶ。
ぶら下がっているのは何かの写真だ。
よーく見ると、それは戦車の写真だった。
すると、軍曹はなにやらブツブツ言い始める。
「これ、知ってるんやけどなー、何やったかなー。」
もう一人の奴に聞いている。「この戦車知ってるか?」
なるほど!ポイントには写真が置かれていて、その写真が何なのかを書いていくのか!
というわけで、やっと何をしているのかが完全に理解できた。
そこで、私が、その戦車はM2ブラッドレーです、軍曹。
と言うと、
「おお!そうや!ブラッドレーや!ブラボー、オカノ!!」
と、えらい褒められる。
「にしても、よく知ってたなー」
と言うので、日本はアメリカ軍と仲がいいので良く知っているんですと答えると、
「そういえば、おまえは日本人やったなー。」とか言ってる。
また中国人とでも思い込んでたんだろうか。
ま、そんなんどうでもええけど。
 ということで、2つ目のポイントに向かう。
なかなか見つからない。
やっとのことで見つけるが、そこには戦車ではなく、ヘリコプターの写真がある。
対戦車ヘリの写真なのだが、だれもわからない。
ピューマやらマングースやら言ってるけど、どうも違うようだ。
やいやい言っていると、軍曹が「あっ、思い出した、タイガーや!」
ということで、次のポイントへ。
3つ目はまた戦車だった。
しかし、ソ連製だろうということしか私にはわからなかったが、軍曹よく知っていた。
これはBMP3?や!こことここがこうなってるからBMP3なんや!間違いない!!
とか言っている。(BMP3かどうかはよく覚えてない。なんせキャタピラに小さい砲塔がついた奴だった。)
この軍曹、東欧の出身だったのでよく知っていたようだ。
自分の国で使っていたのだろうか?
こんな感じでテスト?は進んでいく。

 3日目、戦車、装甲車を使用してのテスト。
科学兵器が使用された場合を想定してのものだ。
防護服の着用から、各種車両への浄化装置などの取り付けなんかも見られる。
そして、戦車、装甲車に乗り込み進んでいくと、どこからか発炎筒が飛んできて、あたりは煙だらけになる。
無線から敵襲!科学戦の用意!みたいな指示がとんでくる。
すぐにマスクを付け、車載の浄化装置を動かす。
こんな感じで楽しいテストは終了した。


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