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6,研修


 1週間程警察署に研修に行く。2〜3人位ずつで各署に振り分けられる。
そこでは実際の勤務と同じように行動する。まー何にも仕事はできんけどね。
拳銃も持たせてもらえないしね。
交番で勤務したり署の司令室だったり、パトカーに乗ったり・・・
まーおもろいわ。
やっぱ交番が一番おもろかったね、いろいろあるし。
交番での仕事で一番多かったのが地理教授。要するに道案内や。
観光地にある交番やったからな。
落し物なんかもよくあったね。
うちの県の警察では交番での勤務は24時間勤務だったのでその日は交番に泊まることになる。
昼は道案内が多かったけど夜になると喧嘩がでてくる。
無線が入ってくる。
 『○○町○丁目付近でモメゴト事案発生。5〜6人が喧嘩をしているとの通報です。』
みたいな感じやったかな。
通常は現場を受け持ってる交番が行くことになる。
私もついて行こうとすると、
「お前は研修生で拳銃も持ってないからここに残れ。」
と言われる。
僕は極真空手の初段と柔道の初段を持っているから大丈夫だ。
見たいな事を言ってついて行こうとするが、交番で留守番させられる。
誰かが交番に来ても対応できないから奥の方に隠れていろと言われる。
まー、正解やわなそれで。確かに対応できんやろうから。

 司令室では指令している様子をただ見ているだけ。
いろいろ説明はしてもらったけどあんまおもしろくなかった。
 パトカーも乗ったけど何にも覚えてないな。
 そんな感じで研修は終わった。

 俺は特に変わった経験は今回の研修ではしなかったが、逮捕現場にいてた奴もいれば死体を扱ったものもいた。
また、署によっては研修生に厳しいところもあり、この研修が原因で辞めていった者もいた。
 同期のU君、研修が終わった後の休日にみんなで飯を食いに行こうと誘うが、腹が減ってないから行かないと言う。いつもはよく食べる奴なのに何か様子が変だ。
案の定、そのまま実家に帰ってしまった。
聞いたところによると研修先の署でいろいろきついことを言われたらしい。
気が利かない奴だとかいろいろ。
そこに死体が発見され、検視させられたらしい。
死体の服を脱がし、直腸温を測らされる。
死体の肛門に温度計を突っ込み腸の温度を測る。
それにより、死亡推定時刻を割り出す。
死体は全身の筋肉が緩むため体中の穴が緩んだ状態になる。
つまり垂れ流しである。
現場はうんこまみれだったらしい。
当然死体を触るんだからうんこが付くわな。
U君にとってはすごくショックだったらしい。
もともと気の弱いU君、自分には警察の仕事は向いてないと思い辞職を決意したらしい。

 以降いろいろな理由で辞めて行く奴が出てくる。3分の1が辞めたんじゃないかな、この5年ぐらいで。
俺もその一人なんだけどな。
ただ違うところは警察がイヤになって辞めたんじゃないというところかな。


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