21、連続窃盗事件へ  23、脱走兵へ
22,忍者志願者


 バスケットボールやってて足首を捻挫した。
というよりさせられた。
誰に? 
アホのバナッシュや。
そう、キャッシュカード人に貸して金を引き出された奴や。
バスケのルールをよく理解してなかったバナッシュは、ジャンプしてボールをとった俺に体当たりをしてきた。
『ウォ〜!!』という叫び声とともに。
体当たりされて着地に失敗し、足首をひねった俺は地面に倒れこむ。左足首捻挫
足首に激痛がはしる。
みるみる腫れていく俺の足首。
そのまま駐屯地にある病院へ直行する。
緊急入院や。
そこで3日ほど過ごすことになった。
そこには既に6人ほどの入院患者がいてた。
足をけがしたものからどこが悪いのかわからんような奴まで。

 一人が話しかけてきた。ハンガリー人だったと思う。
「中国人か?何でけがしたんや?骨折れてるんか?」
にしてもアジア人見たら絶対中国人やと言ってくるな、ここの奴ら。
俺は日本人でバスケしてて捻挫したんやと言う。
すると、
「何!?お前日本人か!俺は日本についていろいろ聴きたいことがあるんや。」
「俺は忍者になろうと思ってるんだが、日本には何人くらい忍者がいてるんだ?」
と聴いてくる。
え、何ですか?みたいな感じや。
目が真剣やったからちゃんと答えてやることにする。
日本に忍者なんかもうおらへんでーと教えてやると、
「嘘つけ!そんなはずはない。俺はいろいろ本も読んだし映画も見た。それにカナダに一人忍者がいてるのを知っている!」
と言ってくる。
それでも日本には忍者なんかもうおらへん。そんな時代はもう終わったんや。
と説明してやるとえらい落胆した様子で、
「は〜、なんちゅうこっちゃ。俺はどうしたらいいんや〜。」
とか言って落ち込んでる。
何かめっちゃ悪いことした気分や。
しまいには
「そんなことやから日本は戦争に負けたんや。忍者がいてたら勝ってたのに。」
とか言い出す始末。
しかし、次の瞬間
「そしたら俺はテロリストになる。テロリストになったら金も女もどんどん手に入るようになる!」
とか訳のわからんことを言い出した。
テロリストと金と女とどうつながるねん?とか思いながら、そうか、がんばれよ!と言ってやる。
すると
「お前もテロリストになれ!一緒にがんばろう!金も女もガンガンや!!」
とか言って誘ってくる。
しかし、何をどうがんばるねん?

 奴はかなり頭の切り替えが早いというか、結局何も考えてないようで、数分後には他の奴らと『枕投げ』をして遊んでいた。

 しかし、いろんな奴がいてるよな、世界中には。
ちゅうか、外人部隊やからか?


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