でた〜!ついに脱走の話か〜!?
まー、脱走の話なんやけど俺やない。
ペルノーや、カナダ人の。
奴はロッカー荒らしがばれて捕まり牢屋に入れられた。
そこでは一日中牢屋に入っているんじゃあなくていろいろ作業をさせられる。
ベレー帽の代わりに麦わら帽みたいなのをかぶせられる。
そして、ひと目で懲罰兵とわかるように赤いベストというかなんか目立つやつを着せられてた。
その作業中に逃げよったんやけどね、話によると。
しかし、牢屋に入れられてる間はお金とか持つことできんかったのに何を考えてるんかわからん。
ちゃんと計画して逃げたんやろか?
どうやって逃げ切るつもりだったのか?理解できん。
おそらく衝動的に逃げたんだろう。
案の定2日後ぐらいに捕まった。
何でも農家の野菜かなにかを盗み食いしてるところを通報されたらしい。
腹ペコで動けんようになっていたという話もある。
そして無一文やったらしい。
カナダでは軍曹くらいにはなってたらしいが、これも本当かどうかあやしい。
そういえば、以前このペルノー、どこからか大量の酒を調達してきてた。
そんで部隊で売ってたな。
何でも『サービス』のときにバーかどこかで働いて、その時にそういう話をつけてたらしい。
そのときは俺もその酒買ったけどな、飲みたかったから。
脱走の話はまだ続く。
次はバナッシュ!
バナッシュ君、また盗難被害に遭いました。
今度は財布ごと。
シャワー浴びに行くのにロッカーに財布おいて、鍵かけずに行ったらしい。
帰ってきたらなくなってるし、またまた大騒ぎ!
でも、今度はみんな冷たい。
そらそうや、またお前か〜みたいなもんや。
カポラルがやって来た。
バナッシュ君、
「財布に入ってた金は盗られてもええねん、カードが問題や〜」
とか言ってる。
カポラル、
「物が盗まれること自体が問題なんじゃー、お前だけのことやあらへん!」
といってバナッシュの胸ガンガンどついてる。
この後全員廊下に整列させられ身体検査、そしてガサ入れ。
ロッカーというロッカー全部調べ始めた。
カポラル、もうめちゃくちゃしよる。ロッカーの中のもん全部放り出してる。
「あ〜あ、せっかく整理整頓してたのにまたやり直しや。」
だれかがボソリと言う。
そやねんなー、靴下からパンツから全部きれいに並べてあるのにな〜。
雑誌とか使ってシャツなんかみんな同じ大きさにたたんで重ねて、端がまっすぐに揃うようにして百貨店みたいに並べてたのにな〜。
全部やり直しや。
おまけに隠してた酒は見つかるし、腕立てはさせられるし、もうめちゃくちゃや!
別にこんなのは珍しいことではなかったけどな、しょっちゅうやられた。
次の日の朝、ベッドにバナッシュの姿はなかった。
脱走しちゃいましたね。
前の日の夜、同じポーランド人といろいろ話し込んでたみたいやからな。
こういう時日本語なんか便利やね、日本人以外に日本語わかるやつなんかいてなかったしね。
というわけで、バナッシュ君が脱走兵第一号となりました。
成功したんはこいつが一人目や。
にしてもかわいそうなやつやったな、いつも外人部隊は嫌や〜、イヤヤ〜ゆーてたからな。
「部隊に配属になったらもっと自由になるし、ええこともある。がんばれ!」
とかゆうて部屋のみんなで励ましたり慰めたりしてたんやけどな。
でも、脱走してよかったんちゃう?
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