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38,営倉入り 4
 さて、スキーから帰ってきて、いよいよ営倉つまり牢屋に入れられるのだが、結論から言えば、ぶちこまれて良かった。
それは何故か?
理由その1、話のネタになる。
これは非常に大事である。
関西に生まれたなら、これは宿命とも言えるものであろう。
これを探さない日はない。
関西人でネタを探さない奴はいない!と言っても過言ではないだろう。
モノゴコロついた時から、否、この世に生を受けた瞬間からそれは始まっているのだ!
だから営倉にぶちこまれたのは、ある意味幸運なのである。
この事実さえあれば、あとは話をふくらませて、アホな内容にしていけばオッケーである。
で、理由その2は、サービスをせずにすんだことである。
スキーから帰ると、うっとうしいサービスの週が待ち受けていた。
そう、ガードやら、調理場の掃除やらね。
ん?いや、違う。サービスさせられてたな、そういえば。
ガード24をせずにすんだだけかもしれんな。
あれは、アイロンをあてたりするのが非常にうっとうしいからな、
といっても、コツを覚えれば楽勝やったけど。
アイロンなどの準備をして、軍曹に見せるのだが、見せるズボンとかは別に用意していて、実際にはいていくのは別のズボンてな感じ。
見せる用のズボンは、はかずにそのままロッカーにしまっておいて、また次のガードの時のために大事に残しておく。
毎回毎回、アホみたいにアイロンしてられんからな。
ちょっとでも楽しないとね。
こうやって立派な、一人前の外人部隊兵に育っていくのだ!
一人前になる前に脱走したったけどな、俺の場合は。

 牢屋の話。
仕事が終わると、小さいかばんに石けん、歯磨き、タオル、ひげ剃りなんかを入れて牢屋に行く。
ほんまいややでー。
本来なら、その時間からは自由な時間なんやからな。
で、牢屋行って、カギ開けられて、中に放り込まれる。
あの鉄格子を開けるガチャガチャという音は、独特やね。スキー場で酒浸り
ほんまに鉄の音がしよるからな。
その音で朝も目覚めるのだ。
牢屋は寒かった。
ドアのすぐ外は屋外みたいなものやったからね。
風が入ってくるんだよ、部屋の中に。

 囚人?仲間の中に、マダガスカル人がいた。
こいつは、日本人のゴトウ伍長が当番日に脱走したやつだったのだが。
ゴトウ伍長によると、彼が当番の日に、そのマダガスカル人を何かの罰で営倉に連れて行く途中、奴が部屋に何かを忘れたと行って戻っていったんだと。
あまりに遅いので見に行ったら、いなかったというような話らしい。
それで、ゴトウ君、だいぶあせったらしい。
逆に営倉に入れられそうになったとか言っていたjな。
入ってたら良かったのに。
で、そのマダガスカル人、駅からTGVに乗ってパリまで行ったらしいが、金も持ってなかったのにどうやって行ったかというと、パリまでの間、ずーっとトイレに隠れてたらしい。
TGVでも、やはり検札に車内を車掌が見回るんだね。
で、結局、パリまで行ったんだが、お金がなくてどうにもならないから部隊に戻ってきたようなこと言っていたな。
脱走するんやったら、考えてからやらんかい!俺のようにな。
ノリで脱走するアホがたくさんいるからなー。
後のことを考えろよ!


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