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9,交番の一日


 地域課、要するに交番勤務する課やね。ほかにもパトカー勤務もあるんだけどね。
事件、事故がおきて真っ先にかけつけるのがこの地域課の制服警察官。おまわりさんやね。
あと、駐禁もやったりする。交通課の手伝いで交通取締りしたりもする。
シートベルト検問なんかもしたな。
駐禁ね、俺もやられたけど、やっぱ気分ええもんやないからね。
しかし、悪いのはやったらあかんことしとる奴や!
違法駐車するんやったらそれなりの覚悟もってやらんかい!
それを、さも警察官が悪いかのようにゴネル奴がいるからな。
違法駐車見つかったら切符切られて罰金払わされる、あたりまえや。
それをわかって違法駐車するんやろが。そしたら見つかったら素直に切られて払わんかい!
それが筋っちゅうもんや。
俺は素直に払ったし、切符も切られたからな。
 
 ということで、交番勤務の続き。
交番勤務は、私がいてた県の警察では、24時間勤務を3交代でやる。
下っ端警官は、朝、先輩達より早く署に来て、掃除をする。
そして、いろいろと出勤の準備をする。
例えば拳銃を持ち出すためのカードなどの準備等。
そして、先輩達が出勤し、拳銃も受け取ったらそれぞれの交番に向けて出発だ。
私がいてた交番には自転車で行っていた。
交番に着くと前日から勤務していた人たちと交代する。
引継ぎ事項等を確認したあと、前日からの人たちは署へ帰っていく。
さて、勤務開始。
今日は何があるのかな?
とか思いながら交番の前で立番をする。
そしたら、道を教えてくれやら、何々の店はどこにあるんだ?などと交番に来る人がでてくる。
そうこうしているうちに、本署から電話で
「どこどこで物損事故」
などと仕事が入ってくる。
現場行って事故処理する。
いつ、どこで、どの車とどの車がどんなふうに事故ったかなどを聞き込み、事故証明が出せるようにしておく。
(たぶんそんな感じだったと思うが、だいぶ忘れた。)
人身事故の場合は、交通課の事故係がやって来て、もっと詳細に調べていく。
それが終わると、また交番に帰る。
巡回連絡に行くときもある。
どこどこの何番地には誰が住んでいて、家族構成、緊急連絡先などを記録しておく。
非常時には、この巡連カードが非常に役に立つ。
震災のときにはこれがかなり役にたったらしい。
また、火事になったときなどにも、現場には誰が住んでいたのかがすぐわかり、連絡もすぐとることができる。

 お昼、飯は炊飯器で炊いておく。
もちろん下っ端の俺の仕事だ。
味噌汁も作る。
おかずは業者からとる。
洗い物をする。

 午後、特にすることがないなら駐禁取り締まりに行ったりする。
止まってる車のタイヤ付近にチョークで時間と印をつけていく。
すぐ、持ち主がどこからともなくやって来て、どこかに乗っていく。
喫茶店なんかの前にはいつも何台か止まっている。
私は、わざわざ喫茶店をのぞき、駐禁取締りに来たことを知らせる。
客が何人か車に乗っていく。
そして、残った車に印をつけていく。
そうやって、ひととおり見て回り、はじめの場所に戻る。
その時点でまだ残っている車を見つけるとその場にとどまり、10分くらいたつと駐禁シールを車に貼る。
その車はアウトやね。後で、交番か本署のほうに出頭して切符を切られるはめになる。
そんな感じで1〜2時間やる。
 
 夜、また飯の用意をする。洗い物をする。
さて、今夜は寝れるかな?
何もないと良いのだが・・・
とか思ってたら電話が鳴る。
ダーボーとかののしりながら現場に向かう。
カラオケ店内でのもめごと。
店内では男がわめいている。
女がどうやー、店がどうやー、とか言ってる。
部長が話を聞いている間に関係者の名前、住所、電話等を聞き込む。
すると男が「その子はなんも関係ないやろがー、こらポリー!!」
とかわめきながら、胸ぐらつかんでくる。
ダボが、勝負したろかー、チンカスがー!とか心の中で叫ぶ。
なんとかなだめて現場収拾させ、交番に戻る。
被害届け出す意思がなければ、警察の出番はない。
当事者間の話し合いという形になる。

 交番に帰る。
寝る順番を決める。
交代で2〜3時間づつ寝る。
交代で起きてるんやけど、たまたま何か事案があって起きてる人たちが出て行ってたらやっぱり寝ている者が起きて対応しなければならない。
つまり、事案が重なって対応しきれないときには全員で対処するということ。あたりまえか。

 あるとき、朝の4時ごろに起こされた。
110番通報らしい。
俺が電話とったと違うから、詳しくはわからない。
起きてる人達は他の事案に出て行ったみたいだ。
上司が警じょう(1メートルくらいある棒。一応武器)を持って行けという。
何や、何があったんや?
朝の4時というとまだ暗い。
春先やったと思うがやはり暗かった。
現場に着くと通報者らしきおばちゃんがいる。
「あ、おまわりさん来てくれはった!」
どうしたんですか?何があったんですか?と聞くと、
「蛇が出たんです!蛇が!おまわりさん、何とかしてください!こっちです!!」
と言い、我々を案内する。
家の中というか、物置というかよくわからん家に入ると、鳥かごでいっぱいだ。
そら、鳥が何匹もおったら蛇も寄ってくるやろ。
「この辺にいてたんです。捕まえてください、お願いします。」
とか言ってる。
捜してもいない。
交番に帰る。
しばらくすると、また電話。
さっきの人だ。
また蛇が出たんだと。
しゃーないから、また行く。
しかし、やっぱりいない。
そんなこんなで日も昇った。

 午前9時ごろ、次の当番の警官がやってきて、我々と交代する。
本署に帰る。
事務処理で残っているものをすます。
俺らはこの日は休みだ。
といっても、寮に帰って寝るのだが。
その次の日は一日休みになる。
そしてその次の次の日はまた当番日。

これを繰り返していくのが交番勤務なんやねー。


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